2015年12月31日木曜日

ご報告:県議会に提出した陳情についての審議と採択がおこなわれました

ご協力いただいた「県立鎌倉近代美術館の存続を求めることについての陳情」は601名の方々が提出者となり、県議会12月議会に提出しました。
12月17日に文教常任委員会で審議され、結果は残念ながら「了承」(1名の議員が「了承」)となりましたが、このプロセスを経ることで、閉館の問題について多くの方にお伝えすることができ、議会にも疑問の声をしっかりと伝え、記録にも残ったことに、意味があったと考えています。

また、陳情の内容について、委員のみなさまに直接口頭で説明させてもらえる「口頭陳情」もしてきました。
提出した陳情の説明として、以下5点を説明し、
ー美術館としての運営の継続
ー県と八幡宮の協議と、その内容の公開
をお願いしてきました。
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1▼取り壊し予定の旧館が、新館とあわせて世界的に評価されているモダニズム建築であること
(FBで寄せていただいた11月のライトアップの写真と、ミュージアムショップで買ったポストカードを、議員さんにおみせしました)
2▼鎌倉館は日本初の「公立」美術館で、「誰かが決めた美しいものをみせてもらう」から「何が美しいかはひとりひとりが決める」という発想の転換があったこと。
ユネスコの憲章前文「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心に平和の砦を築かなくてはならない」の思想を受けつぎ、人間の尊厳をふみにじるような戦争のあとで、平和の砦を築く手段として鎌倉に美術館をつくろうという、高い志のあらわれで、歴史的な宝。
3▼県民にとどまらず、全国の美術愛好家や観光で訪れる方にも親しまれてきた施設。署名の際も、京都造形芸術大学のゼミでわざわざいらした方、建築家の学生さんも熱心に写真を撮影、神奈川県なぜこんな貴重な美術館を閉館するの?という声。
神奈川県が推進するマグカル事業(*)の趣旨にも、ぴったり合致する美術館。
(*神奈川の文化そのものがマグネットとなって、人をひきつけ、街に魅力と賑わいをもたらすマグネットカルチャー(マグカル)事業/HPより引用)
4▼まだこの閉館問題について県民によく知られていないこと。「えー、閉館しちゃうの?」との声たくさん。これで決めてよいのか
5▼文化や芸術の成果は、人の心に培われるもので、数値では測ることのできないもの。一時的な経済理由での廃館は、将来への大きな損失であること。
ーーーーーー
委員の皆さまに、美しい鎌倉館の写真をお見せすることができて、よかったです。

また、傍聴にも独特のルールがあり、
*10時までに陳情の申込が必要
*委員会の休会?中は、再開時間不明のため、各自携帯番号を伝えて待機(4時間以上待ちました!)
*陳情の採択(了承か、不了承か)部分しか傍聴することができないので、委員さんの考えをよく知ることが難しい
など、実際に体験してわかることも多かったです。

今後は、これまでに取り組んできた方々を含め、どのように働きかけ取り組んでいくか、模索していく必要があると感じているところです。今後ともどうぞよろしくお願い致します。



2015年12月13日日曜日

うれしいご報告/館長水沢さんトークイベントなどお写真


きのう、のこす会のツイッター宛に、
館長の水沢さんのトークのご様子をおさめた美しい写真をお送りくださった方がいらっしゃいました。

みなさんとのシェアをお願いしましたら、実名での共有を快くご承諾いただきました!
とても励みになるできごとでした。
下田さま、ありがとうございました。

ここに掲載した2枚は、トークの様子。

他の美しい写真は、下のリンクから、ご覧いただけます。

ぜひ、美しい鎌倉館の様子を、ご一緒に。

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下田 浩誉さまより。

アルバム「さよなら神奈川県立近代美術館 鎌倉館」
「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART3」展、館長の水沢勉さんによるトークとともに。


2015年12月11日金曜日

知識をふかめるシリーズ2:「神奈川臨調を考えるー芸術を生み、育む側から」

鎌近のこす会は、知ること・考えることと反対運動の両輪を大切にしています。

今回ご紹介するのは、連載「神奈川臨調を考える」です。
代表の美術評論家・宮田徹也さんが2012年からこの問題について取材をつづけて書かれた連載のひとつです。
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『オピニオン 神奈川臨調を考えるー芸術を生み、育む側から』新かながわ社、2013年4月

「道切り開いた鎌倉近代美術館 青木茂」同新聞2186号、2012年10月7日
「理念に立ち返るべきだ 藤嶋俊會」同新聞2192号、2012年11月4日
「文化は長い目で考える/美術館は鑑賞眼が育つ場 森田彩子/稲木秀臣」同新聞2202号、2013年1月6日
「文化が経済を創造する フランシス真悟」同新聞2205号、2013年2月3日
「人間にパワーを与えるのが芸術 中村英樹」、同新聞2209号、2013年3月3日
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ネット上でのみなさまとの共有を快くお許しくださった、新かながわの編集長瀬谷様、本当にありがとうございます。

「鎌倉近代美術館がなくなるとはどういうことなのか」を、まずはひとりひとりが考える。そしてひとりひとりができることを積み重ねていく。
芸術の力が確かに存在するように、鎌倉館を美術館として残す未来をつくりだす力が、私たちにはあるのではないでしょうか。
皆さんとご一緒に、鎌倉近代美術館が、美術館として残り続ける未来をつくりたいです。











2015年12月8日火曜日

【知識をふかめるシリーズ:連載「公立美術館とは何か」1−7】


鎌近のこす会は、知ること・考えることと反対運動の両輪を大切にしています。

今回ご紹介するのは、連載「公立美術館とは何か」です。
代表の美術評論家・宮田徹也さんが2012年からこの問題について取材をつづけて書かれた連載のひとつです。
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連載「公立美術館とは何かー戦後美術の変容」

1日本美術思想史研究 宮田徹也         新かながわ2259号
2美術批評 平井亮一              同新聞2262号、2014年4月27日
3美術史家 足立元               同新聞2266号、2014年6月1日
4日本美術界 首藤教之             同新聞2270号、2014年7月6日
5美術家・パフォーマンスアーティスト 丸山常生 同新聞2274号、2014年8月3日
6画廊主 中岡吉典               同新聞2278号、2014年9月7日
7東京都庭園美術館館長 井関正昭        同新聞2282号、2014年10月5日
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ネット上でのみなさまとの共有を快くお許しくださった、掲載媒体である新かながわの編集長瀬谷様、ありがとうございました!

「鎌倉近代美術館がなくなるとはどういうことなのか」をひとりひとりが考えて、ひとりひとりができることを積み重ねていくことで、鎌倉館が美術館として残る未来をつくりだしたいです。








2015年12月5日土曜日

12月12日(土)鎌倉館館長の水沢勉さんのトークが開催されるそうです


公式ツイッターからの情報です。

12月12日(土)14時から
当日の観覧券があれば、申込は不要で参加できるそうです。


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@KanagawaMoMA: 【鎌倉館展覧会活動終了まで60日】

「鎌倉からはじまった。1951-2016 PART3」展では、
館長の水沢勉によるトークを
12月12日(土)午後2時から開催。
申込不要、参加無料。ただし展覧会の当日観覧券が必要です。
#鎌近

以上です。

12月4日集まった署名を、県議会に提出してきました!

10月のシンポジウムで決まった「建物の保存ではなく、美術館として存続を」の署名活動ですが、
11月には美術館前での署名活動や、それぞれが個別に働きかけもしまして、
12月4日に県議会に提出することができました。

今回の署名は、「陳情」という形式のもの。
一人一枚という形を発案してくださるメンバーがいらっしゃり、
紙のボリュームがすごいです!まずは持ち寄った署名を合わせて、準備。



議会事務局に、提出にいきます。


ご担当の方に、皆さまへのご報告のために撮影のお願いをしました。


陳情の内容について、メンバーの高野さんがポイントを説明します。
全部で601名分です。


このあと、陳情がどのように議会の中の委員会で取り扱われるのかについて、
説明を聞きました。


14日の文教委員会にて、内容が配布され会派に持ち帰っての検討があり、17日に採決。
了承/不了承という採決がされ、議員さんのうち、
どなたが了承したのか/しなかったのか、は傍聴できるそうです。
その結果が、議会の本会議に、報告されます。


結論がでない場合は、継続審議となるというお話もありました。
その場合は3月の委員会にて再びとり上げられます。
(陳情について詳しくは、文末の参考リンクをご覧ください)


続いて、今回の陳情が採決される、文教委員会の委員となっている議員の皆さんを訪問。
こ陳情を提出したことをお伝えし、内容についても説明させていただきます。



写真撮影を許可してくださった議員さんはおふたりでした。
(議員さんがご不在の場合は、事務の方にお渡ししました)

民主党の早稲田夕季議員は、鎌倉市ご在住。
日本共産党の大山奈々子議員。早い時期からこの問題に取り組んでいらっしゃいます。


議員さんによって、この問題について何がポイントなのか/考える視点なども違うので、
そのお考えをうかがいながら、こちらの考えもお伝えしました。

とにかく、重大な問題なので、焦って今結論をだすのではなく、
鎌倉に近代美術館があることの意味について充分に議論してほしいと
いうことについては、特にお伝えできたのではないかと思います。

文教委員会での審議は12月14日と17日。採決は17日です。
傍聴希望の方は、10時までに議会にいけば可能とのこと。
(定員は16名、人数が多い場合は抽選)
議事録ができるまでには3ヶ月くらいかかるというお話もありました。


というわけで、無事に署名も提出したので、お昼を食べて解散。
次は、13日のプチシンポジウム@大船です。

横浜は、銀杏がとってもきれいでした。




















*参考リンク
神奈川県議会 請願・陳情
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/gikai/p80218.html



2015年11月30日月曜日

ご報告 美術館前にて署名集め


11月29日、閉館まで64日、美術館前にて署名集めとチラシ配りをしました。

展示の鑑賞のついでということで、一人で30分間のみでしたが、
13人の方が署名してくださいました。

写真を熱心に撮影されている方、京都造形芸術大学のゼミでいらしたというマダム、建築学科の学生さんなど、美術に詳しい方が遠方からも鎌倉館に来ている雰囲気が、先週よりも強まっている気がしました。

そのせいか、声をかけたかたは半数は署名してくださり、お話した内容も「鎌倉館の立地の素晴らしさ、ハレの葉山館とケの鎌倉館」「文化に予算をつかうということ」「美術館として収益をもっとあげる努力とは」など、こちらが勉強になることばかりでした。

写真を撮ってくださった建築学科の学生さんは、5月の署名にも参加されたそうで「2回書いても大丈夫ですか?」と言ってくださり、この署名との違いとこれまでの経緯をご説明しました。

署名のあとは、のぼりをたたんで、棒は長いので美術館に預かっていただき、展示をじっくり鑑賞し、喫茶室でお茶もして、充実した時間を過ごしてきました。ミュージアムショップに売られていた、鎌倉館旧館の模型を自分でつくることができるペーパークラフトが素敵でした。










twitter ハッシュタグ #鎌近 で鎌倉館へのメッセージを送れます

きのう美術館に行ったら、「twitterハッシュタグ #鎌近 をつけて、鎌倉館へのメッセージをツイートしてください。みなさまの投稿を心よりお待ちしております。」という掲示がされていました。お持ち帰り用の名刺サイズのカードも。

美術館への声を可視化できるすてきな試みだと感じました。

この問題にご関心をおもちの、twitter ご利用の皆さま、
ぜひ鎌倉館へのメッセージ、つぶやいてみてください。

*ハッシュタグは、タグを検索することで、誰でもメッセージを読むことができるしくみです。タグの付け方は、メッセージ文を書いたあと、半角でスーペスをあけて、半角で「#」を入力、つづけて「鎌近」を入力、です。

ちなみに、鎌近のこす会のtwitterもありますので、こちらもぜひご覧ください。
@KamakinNokosu


2015年11月27日金曜日

第6回プチシンポジウム「どうする?どうなる?鎌倉近代美術館」(12月13日)

 鎌倉近代美術館閉館に対する勉強会と反対運動という両輪が回る「鎌近のこす会」のプチシンポジウム6回目です。
署名運動が実際に活発に行われています。その報告もありますが、勉強会の側面が重視されます。
皆様ふるって御参加下さい。
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日時:2015年12月13日(日)13-16時
場所:ゆるこや JR大船駅より 徒歩12分。
神奈川県鎌倉市大船5-3-8 0467-45-4671
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一九五一年に、日本で初の公立近代美術館として生まれた神奈川県立近代美術館鎌倉館(通称・鎌近)が、二〇一六年三月に閉館します。今日、世界的に評価の高い建物だけ残そうという声をよく聞きますが「公立の美術館としての現状を維持すべきだ」という意見は出ません。契約満了ならしかたがないというあきらめがあるのでしょうか。
確かに神奈川県は50年前の契約により、鎌近を壊して更地にした土地を鶴岡八幡宮に返還しなければなりません。すると、全ての判断は鶴岡八幡宮にあると思われますが、実は神奈川県は財政難を理由に美術館、図書館を含む文化施設の大半を手放そうとしています。
つまり、神奈川県は契約を理由に自らの愚行を隠蔽していると解釈できるのです。坂倉準三は美術館として機能するように、建物を設計しました。例えばプールはプールであって、プールを食堂にすることは出来ないのです。鎌近は公立の美術館でなければなりません。
今日、美術と関係のない暮らしをしている方々にとって美術は「高尚」だと敬遠され、美術に深く携わる人々は美術の自律性を求める為「政治」との関わりを厭います。しかし美術も政治も人間の営みとして考えると同じことであり、我々が生きることに不可欠なのです。
鎌近の建設当初の理念は、民主的な日本の美術を世界に発信し、世界の美術を日本で受信することにあったので、「鎌倉」という地域を限定することはありませんでした。つまり日本の民主主義の宝を鎌倉が保持し、世界に発信していると言い換えることができるのです。
この問題について皆様が意見を発言し、交換する場を設けました。活発な交流をしましょう。
(宮田徹也)
▼ゲスト
古澤潤(ふるさわ・じゅん/一九三一年~)武蔵野美術学校卒業。日本アンデパンダン展、ヨコスカ平和美術展、イギリス・ミルトンキーンズ市で作品展示。主として個展で発表し続けている。
首藤教之(しゅとう・のりゆき/一九三二年~)1950年代後半に岡本太郎・武満徹・花田清輝ら主宰の「現代芸術の会」の活動に参加。1995年以後、福岡空襲をテーマにした焼夷弾のインスタレーション作品を各地で展示。個展、グループ展多数。
山野辺明(やまのべ・あきら/一九四五年~)福島生れ。18年間神奈川県の歴史編纂事業で県内各地を調査。教育・文化行政に永年従事。ヨコスカ平和美術展発起人。
宮田徹也(みやた・てつや/一九七〇年~)横浜国立大学大学院修了。岡倉覚三、宮川寅雄、針生一郎を経て敗戦後日本前衛美術に到達。ダンス、舞踏、音楽、デザイン、映像、文学、哲学、批評、研究、思想を交錯しながら文化の【現在】を探る。
▼鎌近のこす会とは?
私が週刊新聞新かながわで神奈川臨調の問題を掘り下げていた際に、浅賀さん、古澤さん、首藤さんと何か出来ないかと会は発足しました。私達の立場は当然、鎌近を公立美術館として残し、新館を補修して坂倉準三が設計したとおりの姿に拡充すべきだと思っています。廃館が決定されているとしても、市民、県民、国民の声によって覆せばいいのです。
それは私達の発想であり、単に残す/残さないという答えを出すので
はなく、様々な方々の、様々な意見を民主的に交換したいのです。ですので「美術館に行ったことがない」「美術に興味がない」「税金の無駄遣いだ」という意見も尊重します。二ヶ月に一度ずつ行ないます。どなたでもお気軽にお越し下さい。(宮田徹也)
▼これまでのプチシンポジウムの内容ダイジェスト
part1報告:四〇人近い方々が参加しました。首藤さんが画家として「人に何かを伝えたい」と口火を切り、山野辺さんが鎌近設立当初の理念を解説し、古澤さんが一九五六年当時の画家達の苦悩を語り、会場からは建築の立場、開かれた会の方法論、出席して美術館に行きたくなった等、様々な発言が飛び出しました(きのおうち ゆるこや/二〇一五年二月二二日)。
part2報告:第一回に引続きナビゲーター四者が話をしました。私は県と鶴岡八幡宮の土地借地契約終了に伴い神奈川県立近代美術館鎌倉館が消滅することよりも、県財緊急財政対策によって別館と葉山館に「集約」されて美術館活動面積が減ることを危惧しました。画家の古澤潤さんは、美術館が公立であるのなら作品を見せて「貰う」のではなく市民は作品を共有すべきだと提案します。美術館とは、動員人数や売り上げで地方自治体が「評価」するものではない。市民の側から美術館像を形成しなければならないと指摘しました。県の歴史編纂事業を行なった山野辺明さんは、建物をコンペティションで決めたのは当時画期的で、民主主義の始まりであると再評価します。建設した五〇年ごろとは今のように深く岩盤に基礎を打ち込むことはなく、国史跡の土地を掘れない法律がなかったことを説明します。坂倉の設計に県が口を出せず、大理石を活用した建築の美しさを説きました。画家の首藤教之さんは、美術家は自己の制作、生活に追われ、美術館とは遠い存在であることを明かします。美術館が単なるゼネコンに過ぎないのではないかと、絶望もします。江ノ島の女性センターの跡地をカジノにすればいいと本気で考える人がいる話を引き合いにだし、美術館に多くの人々が関心を持つ事を願います。
part3報告:第三回「鎌近のこす会」が、六月二八日(日)、鎌倉・きのおうちゆるこやで開催されました。県の歴史編纂事業を行なった山野辺明さんは、神奈川県立近代美術館の九〇年代から今日までの動向を客観的に説明しました。画家の古澤潤さんは、自己の戦争体験と今日の現状が重なることを指摘し、文化芸術懇話会の失言を見過ごしてはならないことを強調しました。画家の首藤教之さんは、閉館後の美術館は市民の意識を大切にすべきなので、運営者は市民との対話を大切の場をつくるべきだと指摘しました。「鎌近のこす会」は「美術館とは、美術とは何か」と「鎌倉近代美術館の機能を残す」という二つのことを議論しており「機能を残す」ことについて具体的なプランを立てるべきだ、鎌倉に美術館があることすら知らない人がいるのでもっとアピールをすべきだなど、会場からの多くの意見が寄せられました。確かに県の予算計画を考えると今年の九月までにはどうにかしなければなりません。しかし神奈川臨調の方針がこれから更に縛りを厳しくすれば、別館も葉山館も、かながわ女性センターのように廃止の方向へむかいます。完全に美術館が消滅しないための闘いは始まったばかりなのだと私は自覚しました。
part4報告:降り頻る小雨の中、国会で12万人のデモが開催されている同じ時間に、大船・ゆるこやで第四回「「鎌倉近代美術館がなくなる」ことはどういうことか」(主催:鎌近のこす会)が開催されました。
県議会議員の大山奈々子さんが、現在の政治の状況、神奈川臨調の対象である各施設の動きなどを細かく説明しました。県民に断りなく閉館にする暴挙にどう立ち向かうか、美術館とは何を生み出すのか、潰すことは何を意味するのかという議論に敏感に反応しました。
元県職員の山野辺明さんは先日鎌近に訪れ、学生はいたが外国人が少なかったことを報告しました。鎌倉駅に鎌近のポスターはなく、マスコミの反応がないので県民ですらも美術館に対する意識が向かないことを指摘しました。
美術家の古澤潤さんは美術館の所蔵品に注目し、ヒューマニズムの傑作という国民の財産である美術の力を信じ、もっと強気に運動を推進すべきだと発言しました。作品があり、展覧会がなければ美術館の意義は生まれてこないのです。
参院選神奈川選挙区候補の浅賀由香さんは、自らの育児体験を語ります。幼稚園に入ると、「上手な」絵の見本を子どもたちが「なぞる」そうです。この頃から「考えない」教育が施されていくことに危惧をします。
美術家の首藤教之さんも浅賀さんの発言に同調し、世間のどの現場でも「考える」人が「鬱陶しい」扱いをされ、「従う」人間が形成されている状況に苦言を呈します。美術館閉館問題は、考えれば考えるほど、複雑であることが明らかになっていくのです。
会場からも多くの発言がありました。美術家は世の中で何があろうと作品を作り続けるので運動はしない、美術館の企画とやる気が甘い、鎌倉に美術館があるのが当たり前であるという教養の高さを示すべき、美術とは良し悪し、好き嫌いも自由に議論できる場である、もっと情報化社会の性質を上手く利用すべきだと、熱の籠った議論となりました。
part5報告:「鎌近のこす会」五回目を数え、パネラーがナビゲートするシンポジウム形式から、参加者が積極的に発言する討論の場に大きく変化しました(10月18日/きのおうちゆるこや・大船)。鎌倉だけではなく横須賀、足柄などの県内からアーティストや美術愛好者、果てはゆるこやを通りかかった人が足を止めて参加しました。
今回の大きな収穫は、どこにも所属することなくたった三人で美術館存続の署名活動を行った一人、藤本美津子さんの報告でした。様々な障害を乗り越え、紆余曲折を経て署名運動に至った過程は、神奈川県立近代美術館閉館反対運動を行う上で、とても参考になりました。百人いれば百の意見があり、それぞれの意見を尊重することも大切ですが、まずは自分たちの主張を強く持たなければならないことを確信したのです。
美術館に人が集まらなくとも、国民は金を使ってでも優れた作品を見たいという欲を持っている、デモを見ていると60年代と比べて日本人が持つ政治に対する意識の変化を感じる、怪しい民主主義がやっていけなくなっている、そもそも民主主義は多数決の決議であるから、民主主義自体をもっと懐疑してもいいのかも知れない、公立とは何か、社会の営みとは何かと目まぐるしく論点が変化し、開かれた議論が実現しました。
今回の「鎌近のこす会」でも、個々の意見は全く異なる見解でしたが、「鎌倉の美術館を残そう、決定した事項であったとしてもこの意思を貫き、多くの人に伝えよう」という主張は一貫しました。
美術や美術館に詳しくなくとも、いま、ここに生きる者であれば、自由に自己の意見を発言する権利があるのです。
以上です。

2015年11月25日水曜日

鎌倉館のことがよくわかる、レポート記事のご紹介


神奈川県の文化芸術を発信するサイト「マグカルネット」に、
『さようなら、鎌倉館 ー「鎌倉からはじまった。1951-2016」レポート』
という記事が掲載されています。

世界的な建築家 板倉準三の代表作として鎌倉館が紹介され、写真も豊富です。
鎌近のこす会のフィールドワークで見学した時に解説いただいたポイントもたくさん紹介されていて、実際に見にいくことができない方に、おすすめの記事です。
美術館主催の関連イベントの紹介もあります。

県議会への署名、プリントアウトできます

鎌近の閉館まで68日。

のこす会では、「近代美術館の役割」「美術品が存在する意義」「美とはなにか」など解決しない山積みの問題について考えること+県に対して美術館廃止に反対する運動、という両輪を大切に活動してきました。

このたび、迫る閉館のタイムリミットを前に、12月の県議会にてこの問題についてとりあげてもらうため、署名を集める活動を行なうこととし、これまで3回、美術館前にて「本当になくしてよいのでしょうか?」という問いかけのチラシ配布や署名集めをしてきました。

1建物の保存だけではなく、美術館として運営していただきたい
2そのために県と八幡宮で協議をしていただきたい
という内容です。

署名用紙は、全国のセブンイレブンにてプリントアウトすることができます。
(有効期限12月2日、使用方法は店舗にてご確認ください)

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チラシ「本当になくしてよいのでしょうか?どうする?鎌倉近代美術館」
説明と署名用紙の郵送先など。
プリント予約番号 84244842

署名用紙
プリント予約番号 61121522
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11月末までに、記載の連絡先までお送りいただければ、
こちらで集めているものと合わせて県議会にお届けします。

神奈川県以外にお住まいの方からも、署名たくさんいただいています。

この問題にご関心のあるみなさま、周囲の方と「鎌近」について話すきっかけとしても、ぜひご利用ください。

*鎌近(かまきん)は、鶴岡八幡宮の境内に建つ、神奈川県立美術館の鎌倉館のこと。長年地元で親しまれてきた愛称です。署名でも、地域に親しまれてきた「鎌倉近代美術館」の愛称を使用しています。議会に提出する際には、正式名称になおしたものをお持ちする予定です。

2015年11月24日火曜日

NHK日曜美術館で「さようなら 神奈川県立近代美術館 鎌倉」


NHK-Eテレ「日曜美術館」で、
「さようなら 神奈川県立近代美術館 鎌倉」放送されるそうです。
12月13日(日)午前9時から9時45分に放映。
再放送は12月20日(日)午後8時から8時45分。  
http://www.nhk.or.jp/nichibi/index.html …


こちらは、23日までおこなわれていた、ライトアップの様子です。
公式twitterから

鎌倉ご在住の加田務さまより(FBグループにご投稿いただきました)